遺言書作成あれこれ

2022年7月30日
遺言書作成あれこれ

「そろそろ遺言書を作成したほうがいいな」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

それでも、多くの方にとって、遺言書の作成はかなりハードルの高い作業だと思います。

遺言書の作成でお悩みの方は、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。

遺言書作成の手順

遺言書の作成には一定の手順があります。以下、簡単にご説明します。

基礎調査

(1)推定相続人調査

戸籍謄本等を取得して「相続関係説明図」を作成し、推定相続人の範囲を確定します。

原則的には、自筆証書遺言の作成に推定相続人の調査は必要ありません。また、公正証書遺言の場合は「遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本」を用意すればOKです。

しかし、「推定相続人を確認して確実な遺言書を作成する」ことと、「遺言者死亡後の検認・遺言執行を速やかに遂行する」ために、遺言書を作成するときに「遺言者の出生から現在までの戸籍謄本」および「推定相続人の戸籍謄本」を入手して「相続関係説明図」を作成しておくことが望ましいと考えます。

時として、相続人の調査をしているときに、思いもよらない相続人を発見することもあります。後々のトラブルを避けるためにも、相続人の調査は遺言書作成の段階できっちり行っておいたほうがよいでしょう。

こういった調査についても、行政書士であれば、依頼人に代わって戸籍謄本等を収集することができます。面倒な作業は、行政書士に任せてしまいましょう。

(2)「相続関係説明図」の作成

収集した戸籍謄本等を基に「相続関係説明図」を作成します。

財産調査

遺言書に記載する財産に関する調査を行います。

①不動産

「固定資産税納税通知書」に基づき、法務局に登記簿謄本を請求します。

②金融資産

預金通帳の銀行名・支店名・口座番号が記載されている見開きと直近の残高が記載されているページの写しを用意します。

③動産

自動車の車検証の写し、貴金属・美術品等の鑑定書を用意します。

以上、用意した資料に基づき財産目録を作成します。

遺言書の作成

(1)自筆証書遺言の場合

依頼者と相談の上、文案を作成していきます。出来上がったら、依頼者に提示し、問題なければその文案に沿って遺言状を作成していただきます。

自筆証書遺言の場合は、すべて自書でなければなりません。書き終えたら実印を押印します。

(2)公正証書遺言の場合

依頼者と相談の上、文案を作成していきます。出来上がったら、公証役場に予約を入れます。

公証人と打ち合わせをします。公証人から文案・費用が提示されます。

依頼者に公証役場の文案を提示します。

公証役場で公正証書遺言を作成します。

遺言書の保管方法

遺言の効果が発生するのは、遺言者が死亡した時です。その時、すでに遺言者はこの世にはいません。相続発生時に遺言書が発見されなければ、遺産の承継は遺産分割協議に委ねられてしまい遺言者の意思がかなうことはありません。したがって、遺言の保管方法がとても重要になります。

自筆証書遺言の場合

遺言者本人で保管するか、遺言者が死亡したことをすぐに知ることができる立場の者で、信頼のおける人に保管を委ねます。

例)遺言によって財産を多く取得する者・遺言書で遺言執行者に指定した者

公正証書遺言の場合

公正証書遺言は「原本」「正本」「謄本」の3部が作成され、「原本」は公証役場に保管されます。「正本」と「謄本」は遺言者に交付されます。

遺言の執行は、正本、謄本のいずれでも可能です。謄本を遺言者が保管し、正本を遺言者が死亡したことをすぐに知ることができる立場の者で、信頼のおける人に保管を委ねます。

例)遺言によって財産を多く取得する者・遺言書で遺言執行者に指定した者

その他知っておくべきこと

遺言書について、もう少し解説します。

家庭裁判所への検認

自筆証書遺言の場合、遺言書の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。

ただし、令和2年7月10日施行の遺言書保管法により、法務局での自筆証書遺言の保管が可能となりました。こちらに保管されている遺言書については、検認の規定は適用されませんので、自筆証書遺言をお考えの方には、こちらでの保管をお薦めしています。

公正証書遺言については、検認は不要です。

遺言の撤回

遺言者の中には、遺言書に記載した財産を売買等で処分できないと思い込んでいる方がいらっしゃいます。

民法では遺言について次のように定めています。

  1. 遺言は「相手方のない単独行為」である
  2. 遺言は、死亡の時からその効力が発生する(民985①)
  3. 遺言の内容と抵触する生前処分の行為は、遺言を撤回したものとみなす(民1023)

つまり、相続させる財産は、あくまで遺言者の死亡時における財産であって、たとえ遺言書を残したとしても、遺言者は自分の財産を自由に処分できるのです。

また、遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができるとも規定されています。

安心して遺言書を作成してください。

最後に…

今まで見てきたように、遺言書の作成には面倒な手続きが多く存在します。

皆さんが安心して遺言書を作成できるようにサポートするのが行政書士です。お気軽にご相談ください。

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