タイトルだけ見るとなんだか嫌な感じがしますね。しかし、夫に先立だれた妻のその後の生活を不足のないものにするために必要な場合もあります。
配偶者に少しでも多く遺産を残したいとお考えの方は、ぜひ最後までおつきあいください。
今回は、具体的な例として、遺言者に子どもや孫がおらず、自分の父母など直系尊属もいない場合を考えてみます。この場合相続人は妻と兄弟姉妹(先に死亡していればその子である甥姪)となります。
このような場合に、今後の生活を考えて、遺産のすべてを妻に残したいと思ったときはどうすればよいでしょうか?
結論から言うと、必ず遺言書を残しておく必要があります。被相続人が遺言書を残さずに死亡すると、兄弟姉妹にも法定相続分が発生し、妻の取り分が減少してしまいます。
それでは、どのような遺言書を作成すればよいのか次に文例を紹介します。
遺言書
遺言者〇田〇男は、本遺言書により次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有する下記を含むすべての財産を妻〇田〇子に相続させる。
(1)土地
所 在 山口県山口市〇〇〇〇1丁目
地 番 1番1
地 目 宅地
地 積 150平方メートル
(2)建物
所 在 山口県山口市〇〇〇〇1丁目
家屋番号 10番10
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床面積 1階30.00平方メートル、2階25.00平方メートル
(預貯金)
①〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号1111111
②〇〇信用金庫 〇〇支店 定期預金 口座番号2222222
第2条 遺言執行者の指定
本遺言者の遺言執行者として次の者を指定する。
住 所 山口県山口市〇丁目〇番〇号
氏 名 〇山〇郎
令和〇年〇月〇日
山口県山口市〇〇〇〇1丁目〇番〇号
遺言者 〇田〇男 ㊞
兄弟姉妹には遺留分がないので、上記のように妻にすべて相続させる内容の遺言書を書いておけば、すべての財産を妻に相続させることができます。
この際に注意すべきことは、必ず遺言執行者を指定しておくことです。遺言執行者を指定しておけば、他の相続人(兄弟姉妹)の関与なく遺言を執行できます。指定がないと、兄弟姉妹全員の署名捺印、印鑑証明等が必要になります。
いかがでしたか?このような例に当てはまる方は、早めに遺言書を作成しておかれることをお奨めします。少しでも悩まれている方はお近くの行政書士にご相談ください。