相続手続きにおいて、従来は、相続手続先が複数ある場合には、相続関係を証明する戸籍謄本等の束を提出しては返却してもらい、次の手続先へ提出するということを繰り返す必要がありました。基本的に戸籍の束は返却してもらえますが、場合によっては、戸籍の取り直しを迫られることもあり、相続人にとっては大きな負担となっていました。そのため、2017年に始まったのが、法務局が相続関係を証明してくれる「法定相続情報証明制度」です。
法定相続情報一覧図とは、被相続人の法定相続人を一覧にしたもので、法定相続人が誰であるのかを法務局の登記官が証明する書類です。
相続人が法務局に必要書類(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍及び住民票)と作成した法定相続情報一覧図を提出すると、数日から1週間くらいで法務局が認証印を押した「法定相続情報一覧図」を交付してくれます。それぞれの相続手続で使用できますので、必要枚数を申請しましょう。
1,戸籍謄本等の収集
市区町村の窓口で、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等や相続人の戸籍謄本を取得します。
相続人が多い場合など、これらの戸籍謄本等を取得することは、多くの労力を要します。行政書士であれば、相続人に代わってこれらの書類を取得することができますので、依頼されることをお勧めします。
2,取得した戸籍謄本等をもとに法定相続情報一覧図を作成します。フォーマットが法務局のホームページに用意されています。
3,法務局所定の申出書に必要事項を記載し、上記の書類とともに提出します。
法務局の法定相続情報一覧図の発行手数料は無料です。ただし、手続きを専門家(行政書士等)に依頼した場合は、専門家への手数料が発生します。
法定情報一覧図の再交付は可能です。再交付の申出書と本人確認書類があれば、法務局で必要な枚数を無料で交付してもらえます。ただし、再交付の申出ができるのは、当初に申出をした相続人のみで、他の相続人が再交付をしようとする場合には、当初に申出をした相続人の委任状が必要です。
法定相続情報一覧図の写しに有効期限はありません。ただし、提出先によっては、有効期限を定めている場合がありますので、事前に確認しておく必要があります。
相続関係説明図とは、相続関係を明瞭にするために重宝する書類ですが、あくまで当事者が任意で作成する書類であるため、証明力がありません。これに対して、法定相続情報一覧図は法務局の認証を受けた書類なので法定相続関係を証明する戸籍謄本等の代わりになります。
相続手続きをスムーズに進めるためにも、法定相続情報一覧図はとても重宝します。
とはいえ、その取得には慣れていない戸籍等の書類の収集等面倒な手続きもあります。
お悩みの方は、ぜひ行政書士等の専門家にご相談ください。