永住許可申請とは

2022年9月29日
永住許可申請

永住許可は、在留資格を有する外国人が永住者への在留資格の変更を希望する場合に、法務大臣が与える許可であり、在留資格変更許可の一種と言えます。

永住権を取得すると、在留期間は無制限になるため、在留期間の更新手続きをしなくて済みますし、就労系の在留資格と違い、職業に制限がなくなりますので職業選択が自由になります。もっとも永住者であっても帰化した場合とは違い、あくまで外国人であることには変わりありません。したがって在留カードの更新や在留資格の取り消し、退去強制処分等の適用はあります。

永住許可の要件

永住権を取得する要件は、次のとおりです。

  1. 素行善良要件
  2. 独立生計要件
  3. 国益適合要件

ひとつずつ解説していきます。

素行善良要件

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

したがって、交通法違反や入管法違反の法令違反がある方は基本的に永住権の取得が認められませんが、駐車違反などの軽微なものについては素行不良とみなされない場合もあります。

独立生計要件

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

つまり、自活できる状態ではない方は永住権の取得が認められません。ただし、配偶者や子どもなどの扶養されている方は世帯単位で判定されます。目安としては世帯年収300万円以上あることが望ましいようです。

国益適合要件

国益適合要件について、永住許可に関するガイドラインでは次の4項目を定めています。

①原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」および「特定技能1号」を除く。)又は居住資格を持って引き続き5年以上在留していることを要する。

「引き続き10年以上」とは、10年以上日本に住所があればよいというわけではなく、1年間の日本滞在日数が180日以下の場合、滞在が中断されたと判断される可能性があります。また、1回あたりの出国が90日を超えていると、中断されたと判断される可能性が高く、在留日数がリセットされてしまいますので注意が必要です。

「就労資格等をもって引き続き5年以上」とは、10年間の在留期間のうち引き続き5年以上は就労資格をもって在留していることが必要で、たとえば留学生として6年間、その後、就労資格をもって4年間の計10年の在留実績があっても、この要件には該当しないということです。永住権許可を受けるためにはあと1年の在留実績が必要となります。

また、「技能実習」や「特定技能1号」の就労資格での在留は、当該5年以上には含まれませんので、注意が必要です。

「居住資格」とは、身分または地位を有するものとしての在留資格である「日本人の配偶者等」などを指します。

②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

法令に違反して、懲役・禁固・罰金・拘留・科料に課されたことがないことが要件になります。ただし、懲役と禁固の場合、出所後10年を経過(執行猶予の場合は、猶予期間満了後5年を経過)、罰金・拘留・科料の場合は支払い等を終えてから5年経過していれば、日本国の法令に違反して処罰されたものとは扱わないことになります。

また、税金や年金に関する書類の提出も求められますので、所得税・住民税などの税金や、厚生年金・国民年金などの年金が適正に支払われていることが必要です。税金や年金を支払っていなかったり、支払ってはいるものの納付期限を超えていた場合は不許可になる可能性があります。

③現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。(注)当面は、在留期間「3年」を有する場合は、「最長の期間をもって在留しているもの」として取り扱われます。

④公衆衛生上の観点から有害となる恐れのないこと

※日本人、永住者、特別永住者の配偶者又は子である場合には、上記要件のうち、素行善良要件と独立生計要件の2つの要件が免除されますが、国益適合要件は必要とされます。

原則10年在留に関する特例

原則である「在留期間10年」について、以下のような特例があります。

①日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること。

②「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること。

③難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること。

④外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること。

⑤在留資格「高度専門職」の者で、高度専門職省令に規定するポイントが

70点以上の者→3年以上

80点以上の者→1年以上

最後に

これまで見てきたように、永住権を取得するためには多くのハードルをクリアしなければなりません。しかし、在留期間の制限がなくなったり、日本での就労に制限がなくなるなど多くのメリットがあります。帰化申請にするのか、永住権取得申請にするのか、当人の今後の人生に大きな影響がありますので、じっくりと考えて最適な方法を選択しましょう。どちらの申請にも、手続きには多大な手間と時間がかかりますので、専門家に相談されることをお奨めします。お悩みの方は、一度当事務所にご相談ください。親切丁寧に対応させていただきます。

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