国籍法では、帰化について第4条で次のように定めています。
第4条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには、法務大臣の許可を受けなければならない。
そのため、帰化をしたいとお考えの方は、入国管理局ではなく法務局へ帰化申請をする必要があります。
帰化申請とは、日本に住んでいる外国人の方が日本国籍を取得する手続きをいいます。これにより、日本人と同等の権利を取得することができます。また、日本国籍取得後は日本人として生活することになるため、在留資格ビザの更新などの面倒な手続きは不要になります。一生涯、日本に住み続けたいとお考えの方は、帰化されることをお奨めします。
一般に、帰化申請するためには次の7つの要件が必要と言われています。
それではひとつずつ要件について見ていきましょう。
日本に引き続き5年以上の住所を有していることが要件となります。重要なのは、「引き続き」という点で、長期間の出国により「引き続き」という点を満たさない場合があります。実務上、年間合計100日以上の出国がある場合は特に注意が必要です。また、国籍法上の「住所」と認められるためには、実務上「少なくとも3年以上は就労している」ことが必要となります。留学ビザの場合は、5年以上の住所があっても帰化申請が認められず、留学ビザから就労ビザへ変更して3年を経過している必要があります。一方、日本人と結婚し、在留資格「日本人の配偶者」を取得している外国人の場合には、実務上、就労期間は要求されていません。
申請者の年齢が18歳以上で、かつ、母国の法律でも成人の年齢に達していることが要件です。つまり、日本の法律でも本国の法律でも成人していないといけないということです。例をあげると、韓国の成人年齢は19歳ですので、18歳の方では本国法上ではまだ成人しておらず、能力要件を満たしません。この場合は、19歳になるまで申請を待つ必要があります。
帰化が許可されるための要件の一つとして、国籍法では「素行が善良であること」を規定しています。これは、ルールを守って真面目に生活しているかということで、実刑有罪判決の前科が問題となるほか、執行猶予付き有罪判決の前科やいわゆるオーバーステイも問題になります。また、交通違反、税金未納、不貞行為も同様です。しかし、素行不良があれば永久に帰化許可のチャンスを失うというわけではなく、一定期間を経過した後に帰化が許可される可能性があります。
生計要件とは、生活してゆくことができるだけの収入または資産があるかという要件です。この要件は個人ではなく、生計を一にする家族に安定した収入や資産があれば要件を満たすとされています。
日本国籍の取得と同時に、他国の国籍を喪失することが要件となります。これは、日本の法律上認められていない「多重国籍者」の創出を防ぐためです。そのため、帰化後にこれまでの国籍の離脱手続きをする必要があります。各国の国籍法によっては、一定の条件の場合国籍を喪失できない可能性があります。国籍喪失ができなければ日本への帰化は許可されませんので、必ず事前に確認しておきましょう。国籍法第5条2項には、国籍喪失ができない場合の例外規定がありますが、実務上、その適用は困難と考えたほうが良いようです。
日本国憲法を順守し、日本の治安を乱さないことが要件となります。日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。
国籍法上明文化されていないものの、実務上の要件として日本語能力要件があります。
これは、日常生活に支障がない程度の日本語能力が必要としたもので、一般的に小学校3年生レベルの語彙が必要と言われています。帰化申請の審査では日本語能力のテストがありますので、日本語が得意でない方は、多少の勉強をしておいたほうがよいと思います。なお、日本語能力のテストはすべての申請人に対して実施されるものではなく、審査官に必要と判断された人に対してのみ行われます。
いかがでしたか?
今回は、帰化申請の審査基準について解説しました。帰化申請には多くの書類が必要で、またその審査にも時間がかかります。外国人の方は、日本に帰化することにより、日本人と同等の社会保障や権利を得ることができます。ずっと日本で暮らしていきたいとお考えの方は、一度帰化をご検討ください。当事務所では、日本に帰化することをご希望の外国人の方に対して、親切丁寧にサポートいたします。